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これ以上話して居ても無駄だと思い、その場を立ち去り、スーパーに向かった。
スーパーを出た頃にはもう真っ暗になって居て少し気味が悪い。
一人暮らしの家まで街灯が少なく、人気もない。走って家まで帰ろうと思ったその時後ろからコツコツと足音が聞こえる。
そぅっと振り返ってみても誰も居ない。
急に怖くなって全力で家まで帰って鍵をしっかりかけた。
ピンポーン
チャイムが鳴る音が聞こえて総ちゃんかと思ってドアを開けるとそこには見知らぬ男の人が立っていた。
麻「どちら様でしょうか?」
少し怖くなりながらも尋ねたが、返事がない。それに息が荒いような…
恐怖を感じて扉を閉めようとすると体でドアを止めながら家の中に入ろうとしてくる。
麻「警察を呼びますよ!」
脅してみるが、男の人は無言で私の手首を掴む。振りほどこうとするけれど、背が低く、しかも女の麻琴では敵わない。
麻「総ちゃん…」
怖くなり、大きな声が出ない。
ギュッと目を瞑った瞬間ドサッという音と共に『大丈夫か?』という柔らかい、けれどもいつもよりワントーン低い声が聞こえてきた。そっと目を開けるとそこには助けを求めていた人がいた。
麻「総ちゃん…怖かった(泣)」
一気に緊張の糸が切れて目からは涙が溢れ出す。けれど、総ちゃんは怒っているようで
総「なんで確認しないでドアを開けたんだ!?」
麻「ごめんなさい…」
総「別に謝って欲しいわけじゃない。怒鳴って悪かった。でも、麻琴が心配で仕方ないんだよ。…怖かったよな。警察も呼んだしもう大丈夫だから。」
安心させるようにゆっくり話しながら震える私の体を抱き寄せる。いつもなら振り払うけれど、今日はその暖かさが心地よくて緊張と疲れからそのまま眠ってしまった。
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