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青年は女性の手を優しく引き上げ、女性は川から岸へと上がる。
「有り難うございます。手、汚してごめんなさい」
女性は青年にお礼と謝罪を言葉にする。
青年は改めて女性をみる。
川の泥水で汚れた化粧やワンピースの服は余所行きだったのか、かなりお洒落に見えた。
どうしてこんな事をと問おうとした青年。
その耳に、女性が抱えた箱から小さな声が聞こえた。
みーみー…
女性ははっとした表情で箱の中を覗き込む。
青年もつられて箱に視線を移せば、その中にはまだまだ小さな仔猫が二匹。
必死に鳴いていた。
「ああ…間に合って良かった」
女性は安堵した様にしゃがんで箱を下に置き、仔猫二匹を撫でた。
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