青井さんには触れられない

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―4― 車の中を確認すると、紅雄が後部座席に転がされていた。 私は慌てて車に乗り込み、縛られている彼を解放する。 「俺さあ、非戦闘員なんだけど」 縛られていたところをさすりながぼやく紅雄。 「この紐、何?」 「ああ、それは料理用の紐ですよ。ローストビーフとか作るやつ」 「俺は材料かよ……」 スマートに車を運転する青井さん。 運転中なら狙える。チャンスだ。 「車を止めて大人しくしなさい」 私はスタンガンを取り出し脅しをかける。 「そんな物騒なものはしまっておきなよ、事故っちゃいますよ」 「だから車を止めてってば!」 「お断りします。君たちの協力が必要なんで」 そう言ってこちらを振り向くと、手には銃が握られていた。 まずい。とっさに距離をとる。 「真白、それは――」 青井さんがトリガーを引く。 私は避けた、はずだったのだが。 「なにこれ、目が……催涙スプレー?」 「あー、さっき俺が奪われた護身用ピストル型催涙スプレーだ」 「しばらく静かにしててね真白ちゃん。あんまり時間がなくてね」 「いったいどこに向かってるの……?それに、さっきの奴らは何?」 「あ、協力してくれる気になったかな」 「紅雄を守りながらこの狭い車内で事故らずにあなたと戦うのは無理そうだから。話くらいは聞いてあげる」 青井さんはミラー越しにこちらに微笑んだ。 「ありがとう。では、今から遊園地へ向かいます」 「遊園地?!」 「よかったな。デートスポットじゃん。2人の距離が縮まりそう」 紅雄がため息をつきながら窓の外を眺める。 「そう、遊園地で真白ちゃんとデートしながら、爆発物を見つけて処理します。どう?楽しそうかな」 「冗談でしょ……」 私は天を仰いだ。
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