夢の中で

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ー「…知」 「…え?何?誰?」 誰かに話しかけられる。 ー「…知也」 徐々に姿が見え始める。 そこにはぼやっとしているが 確かにこちらを見ている。 「え…誰…? ……うぇっ?! …ちょ、ちょっと近い…」 その人はぐっと顔を近くまで寄せてきた。 その瞬間ハッキリ見えた。 鼻筋は通っており、うっとりとした瞳。 さらさらとした黒髪に 人間味を帯びない魅力的で悪魔のような… そんな笑みでこちらを見てくる。 ー「知也、起きて。朝だよ…」 「どぉわああああああああ あああああああああっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 思わず叫んでベットから 転げ落ちてしまった。 俺らしくもなく…。 そして俺らしくもなく叫んだためか 母親が走って2階へ上がってきた。 「と、とととと知くん?!?!?! ど、どうしたの?!?!?!ぐ、具合が悪いの?!?!?! なんなの?!?!?!」 慌てすぎである。 「…んでもねぇよ(ボソッ)」 「え?何?なんて?」 「はぁ…」 もうやり取りがめんどくさい。 やはり人と会話するのは苦手である。 それがたとえ母親であったとしても…。 ましてや、夢に出てきたような あんなイケメンと話せるわけがない。 母親ともまともに話せないやつが…。 それにしても俺は何を求めてるんだ…? せめてイケメンじゃなくて こう…素敵な…俺が一生話せないような 美少女の方が良かったんだが…。 とにかくこんな馬鹿みたいな夢、 2度と見たくないな。 コミ障の俺には心臓に悪い夢だ。
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