夢の中で

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俺は無言でドタバタと下の階へ降りていった。 父は単身赴任で海外へ行っているため 母親と俺、1流企業で働く兄と3人暮し。 兄は俺とは全くの正反対で 愛想が良く、母親の仲も良好だ。 その上、紳士的でイケメンで… こんなやつに彼女がいないのが 全くもってほんと不思議である。 しかし、俺と兄の血の繋がりはない。 お互い親が再婚相手ということだ。 だからこそ、 兄がモテモテのイケメンだからって 俺がモテるわけがないのだ。 まぁ…モテなくて会話をしなくて済んでいるから 俺的にはモテなくて結構なのだが。 「知くん、何朝から叫んでたの? なんだからしくなくて朝から珈琲吹いちゃう所だったよ?」 そう言ってニヤッと口角を上げる兄。 (チッ…) 内心舌打ちし、完全無視。 正直、兄のこの絡みはとてつもなくうぜぇ。 「あれ?無視?知く~ん?昴兄ちゃんのこと無視なのかなぁ~?」 俺は兄が後ろでグチグチ 言っているのを無視し、 コップを取りに棚へ向かった。
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