兄の謎

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兄はいつもそうだった。 キレた時はお尻を鷲掴みする。 そして相手を強く抑制する。 最初にやられた時は いきなりだったこともあって めちゃくちゃ変な声が出たっけ…。 兄は後半、それを心底楽しそうに 見ていた気がするのは 気のせいだと思いたいが…。 「知くん、新学期始まるのに その髪の毛で行くの?」 兄が食卓について俺に話しかける。 「…行くよ。」 無視したいところだが 今度キレさせたらどこを 鷲掴みされるか分からない。 「なんで?その前髪、鬱陶しくないの? 目の下まで来てるじゃん。」 「鬱陶しくない」 「そんなんじゃあ…モテないよ?」 「モテなくていいよ…」 て、いうか。 うち男子校だし。 そう思ったが口に出さないでおこう。 なんとなく嫌な予感がしたからだ。 「うえぇえ…?でも…」 そう言って兄は俺の前髪を手で上にあげた。 「………まぁ俺の天使は 俺だけ知っておけばいいか。 よし、前髪もっと伸ばせ。」 そう言って前髪をぐしゃぐしゃやられる。 どーだ。世の中の女子。 こんなイケメンに前髪を ぐしゃぐしゃされるんだぞ。 俺が女だったら惚れるけど 兄弟という立場からしてみれば 今、最悪の気分である。 「じゃあ、俺、仕事行ってくるから。 じゃーね!母さん! じゃあね、…俺の天使」 そう言って俺の額にキスをしてくる。 まじっで!!! 訳の分からない謎な兄である…。
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