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『あいつと俺は、阿吽の呼吸というか、本当にウマが合ってな。内緒にしていたが、今も俺はあいつと走っているんだ……まぁ、そんな話はここではいい。とにかく、アイツが、さっき俺の夢に現れてな。お前が危機的状況にあるって事を知らせてくれたんだよ』
オカルトじみた内容ではあるが、口元を緩めて語る叔父の、懐かしさと誇らしさ……それと僅かな寂しさを孕んだ目には、嘘はなくて。
あのタイミングで電話してきたのも、僕達を助けてくれたのも叔父さんな訳で。
僕は、彼の言葉に素直に頷いた。
『よく、家畜やペットを“畜生”って言うけれど、畜生にだって魂がある。意志がある。想いがある。そこんとこを、人間は考えなきゃいけない。ま、俺としては、畜生だなんて思う事自体が、人間のエゴだと思うけどな。現に。俺とアイツには確かな信頼関係と繋がりがあった。今回だって……アイツには、いつでも助けられる』
種別を超えて友情以上の深い絆を結んだ”最高のパートナー”への深い想いを語る叔父の目には、薄らと涙が光っていた。
人間のエゴで死なせた馬たちの魂を、人間の心無い行動で怒らせ、人間と馬との友情で鎮めた。
そんな事を思いながら、再度、馬魂碑に向かって手を合わせ、敬意を持って拝んだ。
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