鎮魂

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夏と言えば、肝試し。 肝試しの場所と言えば、近くのお寺。 そんな軽い気持ちから、深夜、僕達はお寺に集まった。 これから行う肝試しは、長い階段を、懐中電灯一本持って一人ずつ一番上の本殿まで行き、そこに仕込んでおいたお札を取って帰って来るっていう、ごくごく簡単なもの。 とはいえど、このお寺。 結構大きなお寺で、本殿まではかなりの距離がある。 深夜ともなると、周りを取り囲む鬱蒼とした木々が、ただならぬ雰囲気を出し、薄気味悪さを感じさせる。 肝試しの参加者は、僕、昭雄、泰子、江美の四人。 女子といえど、負けん気の強い二人で、肝試しや怖い話なんかが大好物。 ぶっちゃけ、僕や昭雄なんかよりも、ウキウキと目を輝かせていた。 行く順番はじゃんけんで決め、泰子、僕、江美、昭雄という順番になった。 「いってきーす!」 元気よく出発した泰子。 階段を一つの灯りが登って行く。 心無しか、スキップでもしているんじゃないかというぐらいの勢いで、下から見ている者の気持ちを萎えさせる。
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