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「あいつ、全く怖がってねぇし」
「むしろ、楽しんでるだろ?」
「えー! 私も今からワクワクだよ?」
実際の様子は分からないものの、彼女の動きや、これから回ってくる自分達の番について語りながら泰子の持つ灯りを見ていると、頂上についたのか、灯りが消えた。
「上に着いたみたいだな。」
「あいつ。調子に乗って、真っ直ぐ本殿に行かずに、周りの森ん中散策したりしてねぇだろうな?」
「泰子ならやりかねない!」
彼女の性格上、やりそうなことをあーだこーだと推測していると、十分もしないうちに、再び灯りが頂上に見え、あっという間に、お札を持って堂々と降りて来た。
「上まで行くと、流石に異様な雰囲気を感じるわぁ」
言葉とは裏腹に、楽しげな表情がまったくもって怖さを感じさせない。
ある意味興醒めしつつも、僕も江美も順番で行き、何事もなく無事にお札を取って降りて来て、最後の昭雄が行く事に。
「なぁんだ。なにも怖い事がないなら、単なる夜中のお参りじゃねーかよー」
悪態をつきながらも、何か企んでいるような顔。
”こいつ、もしかしたら、俺らをビビらせようと、何かをするつもりか?”と思いながらも、見送る事三十分。
頂上まで行き、昭雄の灯りが見えなくなって、すでに二十分以上が経過する。
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