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『落ち着け! お前らがいる周りには、何か墓石のようなものはないか?』
言われた事に反応するしか出来ない僕は、注連縄の中にある石碑の事を告げる。
『それ以外に。注連縄の辺りには何もないか?』
まるで僕がいる場所を知っているかのような口ぶりに驚きながらも、叔父の指示通り、注連縄周辺を懐中電灯で照らして何かおかしなモノはないか調べる。
ゴミや落ち葉が散乱している中、注連縄でかこっている中から、子供が悪戯したのであろうか?
それとも、時々この辺をウロつく、暴走族の奴らの仕業であろうか?
注連縄の中にある石碑に比べ小さいけれど、墓石のような石碑のような形をした物が散らばっていた。
「お、叔父さん! あちこちにあるよ!」
見た通りのことを叔父に言うと、電話口の向こうで、「やっぱり」と小さな溜息が聞こえた。
『それらを、注連縄の中へと移動させて起(た)たせるんだ。それと、注連縄の中の石碑も丁寧に起こすんだ』
「そ、そんな! 無理だよ! 注連縄の中に入った仲間は、皆、狂ったようにのたうち回って……」
叔父の命令は、注連縄で囲まれた中に入って、おかしくなった三人を見た僕にとっては酷なこと。
不安で怖がる僕に対し、叔父はハッキリ『それは問題ない!』と言い切った。
「そんな、根拠のない事言わないでくれよぉ! こっちは目の前で……」
『いいか! その石碑は、馬魂碑だ! 俺がジョッキーだって知ってるよな? 俺らにとっても、そこは大事な場所なんだ」
情けない声を出す僕に、叔父が根拠を説明しだした。
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