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私は整形外科を訪ねた。
そして、今までの私とはまるで違う、華やかで美しい顔を手に入れた。
今のこの顔を見て、あの地味で暗い私だとわかる人はいないだろう。
今までは大嫌いだった鏡が好きになった。
狭い賃貸のアパートを離れ、程ほどの中古マンションを買って引っ越した。
髪型を変え、生まれて初めて明るい色に髪を染めた。
今まで身につけたことのなかった赤やピンクの服を堂々とまとい、私は今までとは別人のように変わった。
それに伴い、私の周りの環境もどんどん変化していった。
皆が私に優しく接してくれる。
職だって、すぐにみつかった。
それだけじゃない。
頻繁に男性から交際を申し込まれるようになった。
最初はただ驚くばかりだったけど、顔が変わったせいか、口下手で消極的だった私が、最近では冗談すら言えるようになり、そんなことに自分でもびっくりしている。
(私…本当に生まれ変われたんだ…)
宝くじで得た大金のおかげで、私は別人に生まれ変われた。
だけど、そんな晴れやかな気持ちを否定するものが一つだけあった。
それは、クローゼットに押し込められたアルバムたちだ。
そこには生まれ変わる前のいやな私がいる。
今がどれほど美しくても、おまえは本当は何の価値もない女なんだって言ってるみたいに…
そんなもの、捨ててしまえば良いのかもしれない。
私は、今までの自分をすでに捨てたんだから。
なのに、 そんな簡単なことがなぜだか出来ない。
そうだ…
私は、アルバムの中の私を憎んでる。
ただ、捨てるだけでは飽き足らない。
どうにか復讐してやりたい。
今までずっと光の当たらない人生を歩まされた仕返しをしてやりたい!
だから、簡単には捨てられないんだ…
そう気が付いた。
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