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「もう、戻るよ!」
竜くんの体を押してじぶんから離させる。
「続きは夜な」
そっと耳元で話して、あたしよりも先に歩き出す。
「……もう」
内心バクバクいってる心臓を整えるのに必死だ。
「竜くんはなんであんなに余裕なんだろう」
あたしはすぐに顔が赤くなったり、息を整えるのに大変だったりするのに。
──……やっぱり、竜くんは慣れてる。
前にもこうして昼休みに誰かと会っていたりしたのかな。
なんて、考えてもどうしょうもないことを考えて落ち込んでしまう。
「あたしは初めてなのに」
社会人1年目のあたしよりもっと前から社会に出てる竜くんだもん、いろんな経験があるのは当然だけど。
わかっていても、やっぱり寂しいと感じる。
「戻ろう」
緩んだ頬を引き締めるべく〝パンッ〟と頬を叩いて気合を入れる。
「こんな顔じゃなんかあったのかって思われちゃう」
深呼吸をして、ブースに戻るべく歩く。
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