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僕の狼はとてもおとなしいが、あいつらはとても攻撃的で、人だけでは手を付けることができない。だが五百メートルも離れたところからではそんなことが起きているとは知る由もない。
僕はずっとゲームをしていた。風景はげんじつの世界を模しているため僕の知っているところもいくつかある。あるのだが、これはこの先にある渋滞の始まりの地点だ。敵のモンスターは「ダークウルフ」僕の狼と正反対の存在だ。レベルは986でランク上位者でも危険なレベルのモンスターだ。モンスターはレベル順に、師団級魔獣、超級魔獣、上級魔獣、中級魔獣、低級魔獣に分けられる。そして今回のダークウルフは名前は普通の狼のようだが、上から二番目の超級魔獣である。ましてや、通常レベル800から850なのに986となれば、小型の師団級魔獣とほとんど変わらない。さすがにランク三位の僕でも手を付けられない。すぐに逃げたが、また、逃げた方向が悪かった。現実僕がいる方向に逃げてしまった。勿論前方から悲鳴が上がる。バスの中でも生徒が不安になり、寝ていた人もみんな起きてしまった。ふつうこんなに通行量多い道に動物、しかも狼が二十匹も出てきたら、驚かない人はいないだろう。だが、ここからではまだ何も見えない。これを引き起こした原因の一人ともいえるカケルでさえ気づいていなかった。
「何があったんだ、逃げた方がいいんじゃないのか」
僕の後ろの席に座っていた、銀髪の男の子?―レン――が僕に話しかけてきた。
「ああ、だが外に逃げてもここじゃ人が多すぎて動けないぞ」
僕はバスの一番前に座っていた。もちろん、酔うのを少しでも抑えるためだ。後ろから警察のバイクが来るのが見えた。僕はとっさに窓を開けて、警察のバイクを呼び止めた。
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