第二話 MAJIC&BEAST(魔法を使える獣、魔獣)

23/24
前へ
/90ページ
次へ
ゲーム内でのランキングではカケルの方が上だったが、実際に剣を交えた場合は余りランキングは影響しない。一応カケルが得意な剣で勝負しているから、郁の方が不利なはずだ。郁はライフルや弓を使った遠距離攻撃が得意だからめったに近距離戦をすることは無い。それでも郁はカケルと同等に戦えるだけの技量がある。 始まりの合図がなったが、どちらも全く動かない。開始十数秒が経って動き始めた。先に動いたのは、カケルだ。カケルはいつもの戦闘用の装備ではなく、普段の私服だ。もともと、カケル自身も模擬戦をするつもりはなかったんだろう。確かに装備なしで戦闘するのは素早さに関しては申し分ないだろう。でも防御力はかなり落ちる。それにカケルは剣道や柔道とかを全くしたことがない。現実のカケルの特技は銃の腕くらいだろう。 郁も郁でカケルが装備を付けていないことなんか全く気にせず、手加減は一切していないようだ。どっちも模擬戦とか魔獣戦とかになるとやる気が出すぎで危険だと言われルほどだ。カケルは装備がないのでかなり速く動いているはずだが、郁はそれに普通について行っている。ゲーム内では一二を争うほどの素早さのカケルについて行けるのは郁とあいつくらいだろう。郁もカケルも全く運動をしていない。というより運動は苦手なはずだ。中学校の時もカケルは零と恋で吹奏楽部に入ってたらしいし、郁は料理が好きだったから俺と料理部に入っていた。スバルは基本普段から何をしているかわからなかった。少なくとも勉強は良く出来ていた。俺は学年で三位だったが、郁はいつも学年一位だった。料理もできるし、勉強もできるし、できないことは何もなかった。ある意味俺の憧れでもあった。 「双方、剣を収め!」
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加