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「タツミさん、お手合わせお願いできますか?」
爆弾投下。
一気に騒がしくなる。
冷静なのは、言った本人、言われた当人、そして、いまいち状況を把握しきれない俺だけだ。
と言っても、タツミの目が一瞬真ん丸くはなったが。
「……本気か?」
タツミの声。
「はい」
にっこり笑って答える礼緒菜。
「お、おいおい、お嬢さん、そりゃ無茶だ」
ジンの慌てる声。
「礼緒菜さん!?」
紅玲と葵の声が仲良くハモる。
「お嬢さんじゃないですー!」
ぷくっっと頬を膨らませてジンの言葉に否定する礼緒菜。……って、おいおい、そっちかよっ!
ジンが苦笑すると、タツミの方をちらりと見た。
「礼緒菜さんって言ったか。冗談なしに、タツは、テコンドーと空手の黒帯なんだよ」
「私は、空手と少林寺拳法の黒帯よ。ついでに、合気道は、師範代」
礼緒菜がにっこり笑ってそう言った。
俺達のあんぐりと開いた口が塞がらない。
「相手にとって不足は無い、か」
タツミが、軽く息を吐いた。
全員で店を出る。
「ジンさんは、なぜここに?」
きょとんとした顔で紅玲がジンさんを見る。
「アフターの帰りに、店から出てきたタツを見かけて追って来た。俺もタツも1人だったからな」
「店には、言っておいたから」
淡々とした口調のタツミ。
やっぱり、ホストっていう印象じゃないよ……。
♪
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