恋のはじまり

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 ――明けて入学式の日  目覚ましが鳴る前に目が覚めてしまった僕は、朝食の準備を始める。今朝は食パンにマヨネーズを塗り、トーストした上に目玉焼きを載せて食べよう。  カーテンを開け窓ガラス越しに見える空は快晴で、気持ちが軽い感じがする。  朝食を食べ終えた後、昨夜のうちに準備していた制服に袖を通し十分前に学校へ着くように行動する。それが僕のリズム。中学の頃からそうしていたし、これから先もそうしていく。なぜなら僕は自他が認めるドジなのだ。防ぐ方法は充分に余裕を持つこととリズムを大切にすること。これまでそうしてなんとかやって来たのだから、これからもそうしていく。  準備を済ませてアパートを出る。通い慣れない通学路を歩く。通い慣れるまでは慎重に他所見をせず進む方向を見て歩く。  段々、道行く人の姿が同じ制服で埋まる。みんな今日の入学式に出席するのかな。  リズムを大切にする僕は前の二人組の女の子を追い越す。  あれ、今の子ちょっと可愛いかったな。  そんなことを思った瞬間、足をつまずき転んでしまった。運悪く、転んだ先に桜の花びら浮かんだ水溜りがあった。見事にハマった。
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