第一章 いつもと変わらない日常(?)

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窓辺の席に、頬杖をつく男がいた。 いつもは後ろのほうで仲間たちとワイワイ話している群集の一人。 しかし、今日は前から3列目に座っている。 彼の仲間が出ていないからか? 少し考えたが、しょせん自分に関係ないことだ。 なんの意味もなく、スマホのホーム画面に、 なにかおもしろいものがないか、ぼんやりと見つめていた、 講義が終わり、帰り支度をしていると、 その男、守屋も自分と同じように、帰り支度をしているのが視界の片隅に見えた。 普段は特に気にもとめない存在だが、 今日は一人でいるせいか気になる。画一的な存在から個性が少し見える。 たいていみんな足早にさっさと講義室をでていくものだから、どういう人が残っているのだろうと気になる。 守屋の友達は今日いないみたいだし、雰囲気からしてこのまま家に帰る感じがした。 そう思いつつ、部屋の前方にある出入口の重たい扉を開け、あとにした。
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