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質問には答えることのないまま、強く抑えつけた手を肩から上腕二頭筋、ひじ、手首へとすべらして、両手をにぎる。
腕をなでられる間、抵抗はできたはずだが、先ほどの押し倒すような力とはうってかわった優しい触れ方に、とまどって動けなかった。
そして、にぎられた両手をすっと頭の上にもっていかれ、腕をクロスさせられ、片手でおさえられる。
危機を感じて逃げようとするも、動く前に委員長の顔がせまってきて、耳に唇が当てられた。
やさしくふれた唇。
恐怖も混じりながら、それは数十秒にも感じられた。
このままさらに続けられると思った行為は、ふと止まり、言葉が耳に入れられる。
「風紀に気を付けろ。」
そう一言ささやくと、拘束していた手足をはなし、小会議室をあとにした。
ほへ?
ドアがしまる音で、緊張がとけたのか、呼吸が酸素をもとめて荒くなる。
そしてしばらく両手を机の上にバンザイのまま、ドアの先を見ていた。
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