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足をひねることを恐れてそれを避けたために、あたまから、
階段の角をこすりながら後頭部から落ちた。
意識が薄れていくことに強い焦りを感じながらそのまま途切れた。
目がゆっくりと開く。
白い天井にカーテン、痛む頭に手をやって、ここは病院なのだろうかと考えながら、
けだるく起き上がろうとした。
「まだじっとしとけって。」
横から声がし、背中と胸に手を添えられて、ゆっくりベッドに戻された。
触れられてびくっとして見た相手は、まつげが長いあの守屋だった。
転倒することになった原因の本人にムカつきがすこしうずまいたが、おちゃらけた雰囲気ではない様子にそれは消えた。
昨日見た守屋と似ている
押し戻されて少し不愉快に感じたが、どこか安心のようなものをかすかに覚えた。
安心・・・か。
「先生、呼んでくるからな」
守屋は優しく話しかけた。
両手を膝につけて身を乗りだすように座った状態から腰をあげ、カーテンに仕切られた白い空間をあとにした。
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