第一章 いつもと変わらない日常(?)

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優しく触れられた背中にはまだ守屋の暖かな感触が残っていた。 ふれられた手の予想外の心地に、弱っているからか身をゆだね、されるがままになっていた。 それからふっと守屋はカーテンの隙間から体を入れてはいり、あとに先生が続いた。寝ている自分と高さがあうようにしゃがむ。 「梅村君気持ち悪くはない?」 「とくに・・はい、大丈夫です。」 「頭でもうしろは特に大事だからね…。顔色は悪くはないし、大丈夫かな。入院するほどではないと思うけど、もうすこし保健室で横になっていてね。」 「はい、わかりました。」 先生は立ち上がってお大事にと、軽く頭を下げて白の空間をあとにした。 「大丈夫なんだな」 それまで黙っていた守屋が話しかけてきた。 「うん」 「ごめんな。俺がふざけながら後ろ歩きをしたせいでけがさせちゃって・・・。本当にごめん。」 「・・・うん」 いつもの自分なら適当に「いいよ、ぜんぜん大丈夫。」と自然に仮面を貼りつけて応答するが、そっけない言葉が口かでてきた。 「・・・!ごめんな、本当にごめん。」 僕は冷淡な目でなく、なんていえばいいかわからないが、彼がそう言うのをそれとは異なる目で見ていた。 変な目じゃない。いや、変な眼かもしれない。 胸が緊張でムズムズするような、感じだ。 友達になりたいな まだ痛む頭に、顔がすこしこわばるが、勢いを味方に口を開けた。 「あのさ、なにかおごってくれない?一時間くらいしてから。」
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