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優しく触れられた背中にはまだ守屋の暖かな感触が残っていた。
ふれられた手の予想外の心地に、弱っているからか身をゆだね、されるがままになっていた。
それからふっと守屋はカーテンの隙間から体を入れてはいり、あとに先生が続いた。寝ている自分と高さがあうようにしゃがむ。
「梅村君気持ち悪くはない?」
「とくに・・はい、大丈夫です。」
「頭でもうしろは特に大事だからね…。顔色は悪くはないし、大丈夫かな。入院するほどではないと思うけど、もうすこし保健室で横になっていてね。」
「はい、わかりました。」
先生は立ち上がってお大事にと、軽く頭を下げて白の空間をあとにした。
「大丈夫なんだな」
それまで黙っていた守屋が話しかけてきた。
「うん」
「ごめんな。俺がふざけながら後ろ歩きをしたせいでけがさせちゃって・・・。本当にごめん。」
「・・・うん」
いつもの自分なら適当に「いいよ、ぜんぜん大丈夫。」と自然に仮面を貼りつけて応答するが、そっけない言葉が口かでてきた。
「・・・!ごめんな、本当にごめん。」
僕は冷淡な目でなく、なんていえばいいかわからないが、彼がそう言うのをそれとは異なる目で見ていた。
変な目じゃない。いや、変な眼かもしれない。
胸が緊張でムズムズするような、感じだ。
友達になりたいな
まだ痛む頭に、顔がすこしこわばるが、勢いを味方に口を開けた。
「あのさ、なにかおごってくれない?一時間くらいしてから。」
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