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点になっているカバの目を見ていたら、後ろから頭に手がそっとおかれた感触を感じた。
「かわいいだろ?そのカバ。」
上からの澄んだ声に顔をむけると、にっと笑った顔があった。
耳に伝わる振動と、優しくふれられた感触に不覚にもドキッとした。
「…うん。ゲーセンでゲットしたの?」
「いや、買ったんだよ。700円くらいかな?」
「小さいのに結構するんだ!」
「既製品じゃないからな。」
「え、手作り!?」
「ああ、徳(とこ)足(たり)通りにある手芸の店で開いてた手芸マーケットで売られてた。」
「そういうマーケットがあるんだ。」
「うん、というか意外だな。梅ちゃんってぬいぐるみに詳しいイメージがあったんだけど、そういう店は知らない感じ?」
知らないのかな?ていうかぬいぐるみが好き前提にいつのまにかなっているけど。
確かにぬいぐるみ好きだけど・・・ていうかイメージからわかるもの??
「んと、ぬいぐるみは好きでもないし嫌いでもないよ。」
つい、恥ずかしさから嘘を言ってしまった。
目線を斜め右下にしながら発したと同時に、うわっ、最悪。これで話が途切れると感じた。
しかし、彼の表情はにやけた。
「嘘つけ。俺のカバちゃんをもの欲しそうな目で見てたくせに。」
「はっ?見てない。」
「熱く見つめてたくせに認めないのか?かわいかったで。」
「かわいくない。」
でも、守屋が自分の嘘を見抜いてくれたのは嬉しかった。やっぱり知られるのは恥ずかしいけど。
…ん?ていうか「梅ちゃん」って僕のこと!?
梅村からとったか。
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