ときめきは突然に

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「さやかちゃん、休憩にしようか」 主任の橘さんが、お菓子を持ってやってきた。 橘さんは、50才バツイチのおばさん。息子さんが一人いる。 でも、もう独立して今は気楽な独り暮らしをしていた。 家賃を払うのがもったいないと、息子さんが独立したから『私は独身です』と、社長に無理矢理頼み込んで同じ独身寮に入ってきた。 おばさんの図々しさ恐るべし。 もう一人、同じ独身寮にいるカナちゃん24才。 私もカナちゃんも、あまりマメな方ではない。 でも、橘さんがいるお陰で、私達はまともな食事にありつける。 休憩の時のお菓子も、橘さんの手作り。 和菓子も洋菓子もお手のもの。 「わーい、今日は何ですか?」 カナちゃんが駆け寄ってきた。 「今日は、わらび餅よ」 「やったー!これ大好きなの!市販のと全然違うんだよね~」 「ほら、久住くんも食べるでしょ?」 「…」 『何も聞こえない』
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