第1章

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人の波に逆らって、少し歩いてアキさんが足を止める。 「良かったですか?」 「──はい!」 あたしの答えにアキさんは少しホッとするように笑う。 あたしたちの後ろでまた沢山の花火が上がった。 「これ、何時まででした?」 「あ、えーっと、9時ですけど」 あたしの答えにアキさんは腕時計を見て、持っていた空のコップをゴミ箱に放った。 「なら、マンションから見ましょうか。冷たいビールもありますよ?」 アキさんの提案にあたしはクスリと笑って、「いいですね、それ」と言えばアキさんも笑ってくれる。 そして、始まったばかりだというのにあたし達は、花火を背に歩き始めた。
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