第1章

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ドンドン打ち上げられる花火を何度も振り返りながら、アキさんと手を繋いで歩く。 「ね、アキさん、急ご?」 「そうですね、ならおんぶしましょうか? 下駄では不利です」 「いっ、いいですってば! 大丈夫です!」 「なら抱っこですか? それだと走れる自信が……」 「だから自力で頑張りますって!」 人の歩く方向とは真逆を、二人して小走りに進む。 部屋に入ってあたしはまっすぐにベランダへ向かった。 そこに続く扉を開けて──。 ドォーン……、パラパラ……。 一際大きな花火が目の前で上がった。 「アキさんっ、見えるよ!」 「みたいですね」 クスクス笑いながらアキさんもあたしのあとからベランダに出てきた。
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