第1章

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「大分涼しくなりましたね」 日もすっかり沈んで、海からの風が心地よくなってきた。 「なんか食べちゃいます? あ、やっぱりとりあえずのビールですか?」 周りの人たちもビール片手に歩いてるのを見てそういえば、アキさんも「そですねぇ」と返してくれる。 「ところで、もしかして花火が上がるのはみんなが向いてるあの海の上なんですよね?」 「そうですけど?」 だから観覧席は全部海に向いてる。 「……」 「アキさん?」 何やら考えてるアキさんに声をかけると「いえ」と今度は海とは逆方向を見た。 「もしかして、花火ってうちのベランダから見えるのではと思いまして」 「……え?」
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