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最期
槍のレイダーは血だらけになりながらも、相手と対峙していた。じりじりと間合いが詰まっていく、その時、レイダーの血が目にかかり、片目がふさがった。その隙を見逃すことなく、ブラックが槍を突き刺す。
「なんの!」
それを間一髪かわしてその槍をつかむと、思いっきり引っ張りブラックのバランスを崩し、胸元めがけて槍を突き刺した。心臓を突き刺されながらも、仁王立ちして槍をつかんで離さないブラックにレイダーは感心した。
「見事なり。なにか言い残すことはあるか?」
レイダーの問いに、ブラックは悔しそうに言った。
「貴様らは悪だ。必ず正義は勝つ」
「なあに、勝ったほうが正義なんだよ」
レイダーの言葉が聞こえたかどうか、ブラックは死んでいた。
終わった。魔王はまさかの勝利に驚いている。悪の組織が正義のヒーローを打ち滅ぼしたことが今まであっただろうか。こんなシナリオはなかったはずだ。
魔王は一人、祝杯をあげながら勝利の余韻に浸っていた。
(この先、どうするか・・・)
この国を支配?悪の組織がすること。そんなありがちなのはごめんだ。ならば、
魔王は立ち上がった。
「この国の民とともに平和に暮らしてやろうじゃないか」
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