最期

1/1
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ

最期

槍のレイダーは血だらけになりながらも、相手と対峙していた。じりじりと間合いが詰まっていく、その時、レイダーの血が目にかかり、片目がふさがった。その隙を見逃すことなく、ブラックが槍を突き刺す。 「なんの!」 それを間一髪かわしてその槍をつかむと、思いっきり引っ張りブラックのバランスを崩し、胸元めがけて槍を突き刺した。心臓を突き刺されながらも、仁王立ちして槍をつかんで離さないブラックにレイダーは感心した。 「見事なり。なにか言い残すことはあるか?」 レイダーの問いに、ブラックは悔しそうに言った。 「貴様らは悪だ。必ず正義は勝つ」 「なあに、勝ったほうが正義なんだよ」 レイダーの言葉が聞こえたかどうか、ブラックは死んでいた。 終わった。魔王はまさかの勝利に驚いている。悪の組織が正義のヒーローを打ち滅ぼしたことが今まであっただろうか。こんなシナリオはなかったはずだ。 魔王は一人、祝杯をあげながら勝利の余韻に浸っていた。 (この先、どうするか・・・) この国を支配?悪の組織がすること。そんなありがちなのはごめんだ。ならば、 魔王は立ち上がった。 「この国の民とともに平和に暮らしてやろうじゃないか」
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!