■16時30分~ 3年特進クラス 井森瑠衣

7/12
前へ
/73ページ
次へ
マジでリスカにハマったのは、高校に入ってから。 うち、中学の頃からずっとぼっちなの。 昔はすごい太ってて、男子にデブとか臭いとかブタは人間の言葉話すなとか言われて、完全にいじられキャラだった。 だから高校では友達いっぱい作ってリア充になろう! て意気込んで、ダイエット頑張ったんだ。 まぁ、まだ全然デブだけど。 でも、なんでかな? メイクしてスカートも短くして 張り切ってみんなに話しかけたのに 誰にも相手にされなくて。 気が付けば、三軍以下の圏外キャラ。 教室にいるときは、いつも独りでイヤホン着けて机につっぷしてた。 もちろん、全部ふり《・・》だよ。 周りの視線が気になって、音楽にも眠ることにも集中できないの。 独りが好きって顔してスカしててもさ、本当はみんなにどう思われてるか、気になって仕方なかった。 あいつはさみしいぼっちだって笑われてるんじゃないかって、怖くて。恥ずかしくて。 大人はさ、スクールカーストなんて一時的なものだって言うじゃない。 うち、前にテレビで見たんだ。 教育評論家っていうの? 偉そうなおっさんが言ってた。 今、スクールカーストに悩んでいる子たちに教えてあげたいって。 『容姿や恋愛経験で上下するカーストなんて、五年後十年後、社会に出たら簡単に逆転する』って。 だからそんなもんにこだわるなってことなんだろうね。 でもさ、うちが教えてほしいのはそんなことじゃない。 五年先のことよりも、五分後の休み時間に どうやったら『かわいそうなぼっち』て思われずに過ごせるか。 どうやったら、誰にもバレずにトイレに弁当持って行けるか。 どうやったら、体育の時間に『二人でパス練習』て言われたときに、キョドらずにいられるか。 それだけなんだよ。
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70人が本棚に入れています
本棚に追加