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美紅ね、転校してきてすぐ、うちの後ろの席になったの。
初めて美紅が教室に入ってきたとき、衝撃だったよ。
マシュマロみたいに真っ白な肌で、黒目がキラッキラしててさ。
ディズニー映画から抜け出してきたプリンセスかって思った。
美紅のおかげで、うちはぼっちじゃなくなったんだ。
いつもうちの話、にこにこしながら聞いてくれた。
音楽もよく一緒に聞いたんだ。こうやって、イヤホンを片方ずつ耳に着けて。
美紅ね、うちに話しかけるとき、いっつもこうやって後ろから脇腹をつっつくの。
くすぐったいからやめてって言っても、楽しそうに笑うだけでやめてくれなかった。
いつか一緒にライブに行こうねって言ってたんだ。
夏休みになったら一緒にバイトしようとか、買い物行こうとか、いっぱい約束してたのに。
美紅、嘘つきだよね。
でも全然むかつかないの。
……なんでかな。
約束だけじゃなくて、そのとき一緒にしてればよかった。いっぱい時間があったのに。
もう美紅に脇腹つつかれることなんて、二度とないんだよね。
バイトと買い物だけじゃなくて
あの日の最後の電話も。
どうしてすぐにかけなおさなかったんだろう。
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