プロローグ

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先生、私ね。 教師になりたての頃、先輩から言われたんです。 『子供達は、無限の可能性を秘めた希望の卵だ』って。 想像してみてください。 43個の青白い卵が、教室の椅子に座って じっとこっちを見ているところを。 薄く柔らかい殻の下では、膿とか脂とか、汚らしいものがマグマのように沸騰していて。 そんな羊水の中で、息を潜めて、殻を突き破る瞬間を待ってるんです。 あの子達は、産毛に包まれた可愛らしい雛鳥なんかじゃない。 生きるためでも食べるためでもなく、 ただ楽しむためだけにターゲットを追い詰める モンスターなんですよ。
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