■17時00分~ 3年特進クラス 砥上晶

4/12
前へ
/73ページ
次へ
一年のときから、井森はクラスで浮いてました。 あいつの空気の読めなさ異常ですもん。 入学してすぐの頃、クラスでカラオケに行ったんですけど あいつ一人で何曲も歌いまくって みんなドン引きですよ。 しかもマイナーなバンドの絶叫系ばっかり。 他の奴が歌ってる時も 好きなバンドのボーカルがどうとか、歌詞がどうだとか、マシンガントークが止まらなくて。 『触るな危険』のオーラ、痛いくらい感じましたね。 あの瞬間じゃないかな。初めてのうちのクラスがひとつにまとまったのは。 いや先生、ここ笑うとこだから。 そんなマジな顔しないでください。 別に井森の教科書とか上履き隠したり 濡れた雑巾投げつけたりしたわけじゃないですよ。そんなエネルギー使ってまで関わりたくないし。 ただ井森の周りに、透明なシャッターが降りたのは事実ですね。 一カ月もすると、あいつも自分の立ち位置 ようやく理解したみたいで 別人みたいにおとなしくなりましたよ。 いつもイヤホン着けて机に顔伏せて寝てました。 みんなほっとしたんじゃないかな。 だってほら、痛々しいもの見続けるのって ストレスじゃないですか。
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70人が本棚に入れています
本棚に追加