■17時00分~ 3年特進クラス 砥上晶

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その平穏を乱したのが美紅でした。 うちら、卒業まで一回もクラス替えがないんですよ。 ヤンキーばっかの普通科と違って、一つしかない特進クラスなんで。 進級してもメンバーチェンジは無し。 でも二年になってすぐ美紅が転校してきて 井森の後ろの席になったんです。 何も知らないうさぎちゃんが、運悪く事故物件紹介された感じですね。 ヤバい隣人がいるなんて知らずに、ただ仲良くなりたいっていうピュアな気持ちで インターホンを押しちゃったんですよ。 美紅が話しかけるようになってからの井森は、みっともないくらい有頂天でした。 逆に美紅が可哀想で、見てられませんでしたね。 井森、美紅が他のやつに話しかけられると、敵意剥き出しで睨むんですよ。 あることないこと悪口吹き込んだり、束縛が激しくて。 きわめつけが、あのリスカ癖ですね。 え? そんなに驚かないで下さいよ。 井森のリスカのことならクラス全員が知ってますよ。 だってあいつ、ことあるごとにリストバンドずらして傷跡ちら見せしてくるもん。 気付いてほしくて仕方ないって感じで。 みんな? もちろんスルーですよ。巻き込まれたくないんで。 でも美紅だけは本気で心配してましたね。 ことあるごとに呼び出されて、振り回されて。 そうゆうのに疲れちゃったんじゃないですか。 だから、しえりが手を差し伸べたことで 美紅は救われたんだと思いますよ。
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