■17時00分~ 3年特進クラス 砥上晶

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美紅の好きだったところ? 正直、よくわからないです。 でも初めて美紅が教室に入ってきたときのインパクトはすごかったですね。 ちょっと恥ずかしそうに頬染めて でも希望と期待にあふれた笑顔で俺達を見てました。 友達百人できるかなって歌、あるじゃないですか。リアルにあんな感じで。 純粋すぎて、値踏みする目で見てた自分らが、逆に恥ずかしくなりましたね。 俺の周りの女って、みんな盛ってなんぼなんですよ。 付き合ってもすっぴん見せない女が当たり前だったし。 でも美紅は、しえりに会うまでは化粧なんかしたことなかったんじゃないかな。 綺麗な黒髪で、肌も心も真っ白で、生まれたてみたいにピュアで、疑うことを知らなくて。 きっと誰にも汚されることなくすくすく育ってきたんでしょうね。綺麗な花みたいに。 親からも愛情と栄養、たっぷりもらって。 そんなところに惹かれたんじゃないかな、俺もしえりも。 え?  すごいこと言いますね、先生。 確かに、わからないでもないですよ。 綺麗なものを見たら汚したくなる気持ち。 でも誤解しないでください。 俺と美紅、半年くらい付き合ってましたけど ありえないくらいピュアな関係だったんで。 はじめに言ったじゃないですか、美紅だけは大切にしたかったって。 学校にいる時も、外で会うときも、俺達はいつも三人でした。 俺としえりと美紅。 笑えるでしょ。美紅とふたりだけだと俺、どうしたらいいかわかんなくなるんですよ。 だから俺、美紅に指一本触れてません。 しえりは、たまには二人でデートしなよ って呆れたみたいに笑ってましたね。
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