■17時00分~ 3年特進クラス 砥上晶

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しえりですか? あいつは、美紅とは違う意味で特別ですね。逆の意味で。 中二のときに初めて同じクラスになったんですけど、印象は最悪でした。 親が有名人だからって周りがちやほやして、プロのモデルでもないくせに雑誌に出て騒がれてて。 中学生のくせにブランドの鞄に教科書入れて学校に来るんですよ。 見た目だけ取り繕ってて頭は空っぽのバカ女だって、軽蔑してました。 接点はなかったですね。俺と真逆のタイプでしたから。 俺、こう見えても昔は野球部だったんです。 一年のころからずっと補欠で、バットもろくに握らせてもらえなかったけど。 監督のシゴキがありえないくらいきつくて、辞めるやつらもいっぱいいましたね。 監督って言っても、息子が野球名門校でピッチャーやってるってだけの普通のおっさんです。 すごいのはお前じゃなくて息子だろ、って。 でもなんでかな。あのときはあいつのこと、信じてましたね。 あいつのいうこと聞いてれば、いつか甲子園のマウンドを踏めるって。 マジで信じてた。 「努力はお前を裏切らない」とか「ひとりはみんなのために」とか 「俺に嘘はつけても、お前自身に嘘はつけない」とか 今思い出すと、便所の落書きレベルの薄っぺらい言葉なのに。 宗教ですよね。完全に洗脳されてました。
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