■17時00分~ 3年特進クラス 砥上晶

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しえりと初めて話したのは、中二の夏休みの直前でした。 三時間ぶっつづけでノックさせられて、体育館の裏で隠れてゲロ吐いてたとき、たまたましえりが通りかかったんです。 完璧に化粧した、ムカつくくらい涼しい顔で、汗と泥と涙にまみれた俺の顔 面白そうに見てました。 小学生の男子が虫の死骸見つけた時みたいな顔でしたね。 今でも覚えてますよ。あの、好奇心と残酷さがまざったキラキラした目。 あいつ、俺に向かってなんて言ったと思います? 『どうしてそんなに頑張るの? こんな中学でレギュラーにもなれないレベルなら どんなに頑張っても甲子園なんか行けないよ? 砥上ってどエムなの?』って。 そのとき、なんて言い返したのかは覚えてないけど しえりの言葉に妙に納得して でもそんな自分を認めたくなくて 必要以上に乱暴に食ってかかったような気がします。 胸ぐらぐらいは掴んだかも。 でもあいつ、全然うろたえもせず 楽しそうに笑いながら言ったんですよ。 『いじめられるのが好きなら、 これからはあたしがいじめてあげようか?』て。 そのせいってわけじゃないですけど 夏休みが終わるころ、俺は野球部を辞めました。
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