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正直に言うと、美紅のこと
初めは目障りだった。
美紅が転校してきたとたん、それまでおとなしかった井森が調子に乗っちゃって
クラスじゅうに響き渡る声で、ずっとバンドの話してるんだもん。
見て!
わたし友達がいるの!
もうひとりぼっちじゃないの!
て叫んでるようにしか聞こえなかったけど。
とにかく耳障りで鬱陶しかった。
だからね、最初はちょっとしたイタズラゴコロ。
井森のプライドの命綱になってる『親友』を、あたしが奪ってやったら
どんな顔するかなって。
そんな軽い気持ちだったの。
なのに気が付けば、あたしの方が美紅にハマってた。笑えるよね。
初めて美紅に話しかけたときのこと、今でも覚えてるの。
他の女子は、あたしが近づくだけで萎縮して目をそらしたり
気に入られようとして媚びた笑い浮かべるような奴ばっかりだったから
美紅の真っ直ぐでキラキラした目に、認めたくないけど
あたしの方がビビってた。
毎朝二時間かけてメイクして
しっかり顔に糊付けしてる化けの皮、剥がされそうで。
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