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美紅ってここに来る前は、すっごい田舎に住んでたんだ。
町に高校がひとつしかなくて、全校生徒がみんな幼馴染みなの。
小さい頃から一緒にいて、家族みたいなものだから
好きとか付き合うとか、一切なかったんだって。
そんな美紅の目には、砥上が都会の王子様に見えたんじゃない?
顔だけはいいからね、あいつ。
美紅が砥上を意識してるのは、すぐにわかった。
だから砥上に言ったの。
美紅と付き合ってみなよ、お似合いだよ、って。
そのときの砥上?
いきなり殴られた犬みたいな顔してた。
でもまさか、ほんとに告白するとはね。
あいつ馬鹿だから、あたしの言うことなんでも聞いちゃうの。
そのあと?
意外と仲良くやってたよ。
美紅は悩んでたみたいだけどね。
砥上に女として見られてない、
本当に自分のことを好きなのかわからない、って。
だからいろいろアドバイスしてあげたし、協力もしてあげた。
美紅って素直だから
あたしの言うこと、なんでも真に受けて
なんでも一生懸命実行して
ほんと可愛かったよね。
あんな可愛い子、他にいないよ。
大好きだった。
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