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お見合い
涼香(りょうか)と初めて会ったのは、俺が32才、涼香が24才の時だった。
適齢期と呼ばれる年齢なのに、奥手で彼女が出来そうにない息子を心配した親が 親戚知人あらゆるツテを頼り、見合い話を持ち込んできたのだった。
マンションの自分の家に郵送されてきた写真を見た瞬間、俺の頭にウェディングベルが鳴り響いた。
こいつとどこかで会ったことがある!
いや、やっと会えた??
という訳のわからない思いが渦巻き、じんわりと目の前が涙の膜で覆われていった。
なんで泣いてるんだ??
慌てて目をこすり、涙目で見た写真の涼香は、凛として美しく
こんな美女が何で見合いなんかするんだ??
彼氏の1人や2人はいるだろうが。
と邪推したくなるほどだった。
どうせ断られるなら、一度でもいいからこの美女に会ってデートしたという思い出を作ってから
という変な欲もあり、話を進めてもらったのだった。
実際、艶やかな振袖姿で現れた涼香は、写真よりも圧倒的なオーラを放ち、その微笑みに(恐らくは営業スマイル)釘付けになった。
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