夏の日

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コツコツという音に、少ししわがれた声が重なる教室。 全開の窓からは蝉の鳴き声が絶え間なく聞こえ、じりじりと刺す日差しをかろうじて遮るカーテンがふわりと揺れた。 その隙間から青空を見上げた時、教室が騒がしくなった。 「じゃあ、この問題を---……」 「えーっ!俺ー!?」 空を見上げていた視線を教室へ戻す。 教室の真ん中に座る、たった今当てられたクラスメートに顔を向けたタイミングで、その向こうに座る人と目が合った。 あ……っ、 黒髪の前髪がサラリと目にかかり、その奥の切れ長の瞳がじっと見つめている。 このクラスになってまだ話したことも無い彼と、しっかり合わさった視線を反らすことが出来ず、私も彼を見つめた。 思いがけず合った目に、なにも考えられず周りの音も聞こえない。 次第に自分の心臓がドキドキと煩くなってきて、教室中がどっと湧いた笑い声に我に返った。 どうやら当てられたクラスメートが面白回答をしたようだった。 慌てて沢山瞬きをして目を反らす。 笑い声が響く中、チラリ、もう一度彼に視線を向けたら再び合った視線。 フッと微笑んだ彼に、ドキッと心臓が強くなり、私の顔は耳までピンク色に染まった。 fin.
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