愛の真実 (※改稿:2017.08.14)

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「……お話することは、何もありません」  ぽつりと、隆将が呟く。  すべては報道されている通りです、と。 「……本当に、そうなんですか?」  ゆるゆると隆将が顔をあげる。  初めて視線が交差する。  混濁した瞳の奥に、何かが隠されているような予感がした。 「――笑っていたんです」 「……え?」 「遺影を持って、笑っていたんです」  それは賭けに近かった。  一瞬しか見えなかった、幻かもしれない。  だけど、大池にとってのあの一瞬が、全ての真実のように思えて仕方なかったのだ。  隆将が、がくりと肩を落とす。  その目から、涙が一筋流れた。 「真実を、聞かせてもらえますか?」  春山が促す。  そして真実が語られる。  今日まで黙ってきた、本当の出来事が。
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