愛の真実 (※改稿:2017.08.14)

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 部屋の窓を開けると、蛾が一匹入り込んできた。ぶぅんと羽音をたててよろよろと部屋の中を右往左往する。そいつすら自分を嘲笑っているかのように見えて、イライラする。  ハエたたきで床に叩きつけ、気絶したところを踏みつけた。  ぐちゃり。  血が飛び散る。  何度か踏みにじると、蛾だった物体は見る影もなくぐちょぐちょになり、ただの汚れになった。  それが面白くて、少年は声をあげて笑う。  見たい。  もっと見たい。  部屋の窓を全開に開けるけれど、待てど暮らせど蛾も蝶も入ってきてくれはしない。蚊を潰したところで面白くもなんともないし、カラスを殺すには奴は警戒心が強すぎた。  待って駄目なら、こちらから行こう。  足音を立てぬように、そうっと台所に降りる。シンクの下から包丁を一本抜き出すと、タオルにくるんで外に出た。
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