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外は暑い。
流れる汗を拭いながら、大池は隣の春山を見下ろす。
春山は、にやりと唇の端を上げて大池を見上げていた。
「何か、気になること、あるんでしょ」
春山の勘も鋭い。さすがやり手記者、といったところか。
「はあ、まあ」と曖昧に答えると、肘鉄がやってきた。「しっかりしろ、後輩」
「……例の事件、何か裏がある気がするんですよね」
ぽつりと落とすと、春山は「ふむ」と首を傾げる。
「それじゃ、行ってみようか」
「え」
「確か今日、被害者の告別式があるはずよ」
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