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打たれた瞬間、マウンドで後ろを振り返る大森。打球は高々と観客席に飛び込むホームラン。
大森、ベンチの風間の不機嫌な様子が目に入ると、もう顔も上げられない。
記者席で息をつく結子。
試合後のベンチ裏、コーチが寄っていくが、大森は逃げる。
「おい、大森……」
大森、ダッシュで逃げ切る。取り残され、溜息をつくコーチ。
が、結子が大森の前を塞ぐ。
「同じことの繰り返し。あなた、学習能力あるんですか?」
こめかみがひくつく大森。
「やる気あるならもっとマシなピッチングして下さい。ないなら辞めたらどうです?」
大森、煮えくり返った目をして結子を突き飛ばす。その間にコーチが近づく。大森はまた逃げる。
「聞かないんですか? コーチ、何か用があるみたいだけど」
「用なんか、わかってるんだよっ!」
駆け出す大森の叫び声が裏返る。
「――二軍行きの宣告、か」
結子は尻餅をついたまま大森の背中を見つめる。
~~ブログ 『ファウルチップ』
二軍の花。
大森に合うのはそっちの土のようだ。多少球速が増しても、投球に集中できないのなら役に立たない。大森の頭の中はベンチの誰かさんでいっぱいなのではないか。ピッチングよりもその愛しい人が大事なら、馴染む土に帰った方がよい。 BYキッコ ~~
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