サブマリン、応答せよ

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二軍球場で、ブログを読む大森。荒っぽくスマホを放り出す。コーチが取りなす。 「大丈夫だ、大森。その女ライターはもう近寄らせないから。お前はホントはできるんだ。もう一度ここでキッチリやり直せ」 クルリとコーチを振り返る大森。 「もっと……もっと球を速くしなきゃ」 「わかった――練習メニューも再考してみるが……それより、お前はお前の投球を考えないか? カッコよく速球で三振もいいけど、配球とか緩急の使い方で……」 首を振る大森。 「一軍のバッターは二軍とは格が違うって肌で感じるんです……速くなかったら到底抑えるのは無理だって」 「そう思い詰めるなよ」 「抑えるには自分も一軍レベルにならなくちゃ。らしいピッチャーにならなくちゃ」 目がつり上がっている大森。その肩を叩くコーチ。と、やってくる結子に気付く。即座にブロックする。 「もう大森には、あんたみたいな雑音は聞かせない」 キャッチャーの高橋を始め、他の選手達も、大森から結子を遠ざけようとする。 フッと笑う結子。 「大森選手には協力者がいっぱいいるんですね」 「ここには大森の気持ちがわからないヤツなんていないからだ」 「一軍に上がっても、今度ダメだったら、また落とされたら――二度と声がかからないかも……野球人生が終わるかも知れない――なんて恐怖、部外者にはわからないだろ」 「わからないですね」 あっさり言い切る結子を、カッとした高橋達が追い出しにかかる。 「わからないから、あたしは書きますよ。無責任に結果だけを見てボロクソにね」 結子、ついに追い出される。 「だってあたしはファンの代表ですから。ファンは勝手だしワガママ。グラウンドでのプレイだけで選手を評価する。――そういう恐怖付きの商売を、あなた達は選んだんでしょうが」 みな結子にそっぽを向いて練習に戻る。 大森、そんな騒ぎを横目で見ながら就職情報の雑誌をこっそり捨てる。 「頑張らなきゃ……みんなの協力や期待に応えなくちゃ」 拳を握りしめて練習を始める大森。 結子が息をついて振り返ると、南美が立っている。 「ハ、ハ~イ」 不審そうに南美を見る結子。
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