サブマリン、応答せよ

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オフィス街のその戸外の広場にはベンチやテーブルが置いてあり、OL達が弁当やサンドイッチなどを広げながら語らっている。 南美もお弁当の包みを開いて箸箱から箸を取り出しながら、結子がかじるコンビニおにぎりを見ている。 「うふふ。結ちゃんがコンビニおにぎり」 「何がおかしいのよ」 「お料理、得意なのに。中学の時家庭科で、包丁さばきが他の子と全然違ってたじゃない」 苦い顔になる結子。口の中でつぶやく。 「だからイヤなのよ、昔話になるんだから」 「お料理の腕は結子ちゃんがクラスでNO.1、二番が絵里ちゃんで三番が貴子さん。スピーチが得意だったのが中居君が一番でしょ、二番が井ノ原さん。で、計算が速かったのが一番が谷原君で、次が……」 ゲンナリする結子。 「あんたって、いつもそうやって順位つけてたよね」 ハッとして口を押さえる南美。 「あ……つい。自分は何でもビリっけつなもんだから、みんなのことがうらやましくって」 結子、南美の弁当を指さす。 「でも今は料理はできる」 「ヘタクソなりにはね」 ニコッと笑う南美。 「結子ちゃん、野球のこと書いてるんだね。昔、野球、嫌いって言ってなかった?」 グッと詰まる結子。 「……嫌いよ、今でも」 「そう? でもとにかく詳しいよね?」 「まあね」 南美が箸を置く。 「あのね、私、課長に言われたの。『お前はMissキャッチャーだな』って。どういう意味だろ?」 「課長って、あのやたら野球にたとえて言うヤツ?」 「野球なんて古いって社内じゃ笑われてるのに、気付いてないの」 結子、カチンと来る。 「古いと何が笑えるわけ?」 「? 結ちゃん、野球嫌いなんでしょ?」 また詰まる結子。 「――で? あんた、三振とかホームランとかはわかるの?」 「さんしん?」 う~んと首をひねる南美に、お手上げポーズの結子。
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