2度目の、夏

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心臓の奥の方で血がぐるぐるの回っていて、喉の方まで上ってくる感じがした。 思わず窓際から離れて隅にしゃがんだ。 別にそんな、隠れるようなことでもない。ゴミ捨てに2人が来てても、同じクラスなんだしおかしなことじゃない。そう頭では分かっていても、ざわざわする気持ちが抑えられない。 「…ふぅ」 一呼吸ついて、冷静になろうと努めた。 「何を隠れることがあるの。疑ってたってしょうがないじゃない」 自分に言い聞かせるように呟いて、もう一度窓の下を見た。 爽やかな笑顔、柔らかい物腰で、裕介の、彼のキレイな指が彩香の長い髪をなでた。
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