2度目の、夏

15/42
前へ
/42ページ
次へ
「ばかだ私…」 膝をたてて両足を抱えるようにしてうつむいた。 汗ばんだ太ももの裏に砂がついている。 スカートも、砂で汚れている。 それでも涙は流れていった。 大声で泣くほどでは無い。嗚咽もしない。ただただ頬を滑って流れていくのが止まらなかった。 髪どめをぎゅっと、握りしめた。 理性ではどうにもならなくて、涙を拭うこともせずにそのままでいた。 街と反対方向のこの海には、今のところまだ人はいない。 何も考えずに下を向いて、どうにもならないのをどうにかすることもせずに、ただそこにいた。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加