2度目の、夏

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ふと、無意識の世界から浮上してきて顔を上げると、陽が傾きはじめていた。 「うそ、寝てた…」 目をこすると手のひらの砂つぶが頬をかすめた。 ジャリっとした感覚。 涙はすっかり乾いていた。 立ち上がってスカートについた砂をはらう。 膝の裏や手のひらなんかは汗でベタベタしていたから、砂も落ちにくい。 人と会えるような気分でも無かったし、本当は家に帰りたくなんかない。 それでもシャワーを浴びたい。 「…帰ろう」 ため息をついて、堤防を登ろうとして気づいた。 来た時は自転車に乗っかってよじ登ったけど、帰りはどうしよう。 一気に血の気が引くような思いがして周りを見渡すと、すぐ近くに二段分の小さな脚立が立てかけてあった。 「すごいタイミング!」 思わず駆け寄って脚立を開いた。 自転車に乗っかるよりも高さが低いためよじ登るのが大変だったけど、なんとか問題なく登れ、今度は着地もゆっくりとできた。 そそくさと靴を履いて、自転車にまたがった。 そう言えば自転車って倒れてなかったっけ、と思ったけど、ちょうどその時雪絵からラインが来ていた。 ”今日大丈夫やった?明日テスト勉強どこでしよる?” ああそうだ、雪絵を置いて帰ってしまったこと謝らなきゃ。それから明日の予定も考えなきゃな。 “ごめんね、大丈夫だったよ!明日どうしようか” とひとまず返信をして、家に着いてからまた返信しようとペダルを漕ぎはじめた。
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