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一年前、私はテニス部に入っていた。
中学の時テニス部だったから。
だけど夏の大会を前に靭帯を切ってしまった。
治った後も、痛めやすくなってしまい、続けるのが厳しくなって辞めた。
二年生になってからは雪絵と同じ美術部に入った。
絵を描くのは嫌いじゃなかったし、美術室は一階のグラウンド横。教室からテニスコートが見えた。
「美希ー。ほいじゃあそろそろ私帰るね」
「あ、うん。また明日ね!」
ふと時計を見るともう16時を過ぎていた。日が長くなったからまだ昼間みたいだ。
「今日もアニメ?」
「そうや!ごめんね~いつも木曜だけ一緒に帰れんくて…」
「いいよ別に~、日中ずっと一緒にいるしね」
それもそうやね。なんて笑って雪絵はそのまま帰ってしまった。美術部はただでさえ人が少ない。基本は2人でこの教室を目一杯使ってたけど、毎週木曜だけは見たいアニメがあるからとすこし早めに帰る。
その木曜にだけ、裕介が少し美術室に顔を出してくれる。それが私達の秘密の楽しみだった。
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