2度目の、夏

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職員室にプリントを届けた後も、なんとなくまだお尻が痛かった。それから、数学の先生の向かいにある社会の先生の机を見て、さっき吉沢くんは社会のノートを回収して届けに来たのだと分かった。 あの人は社会科係かーなんて思いながら階段を上っていると、踊り場の窓から見える裏庭のゴミ捨て場に、人影が動いたのが見えた。 そりゃゴミを捨てる人がいるのは不思議ではないことだけど、その影がおそらく、というかよく見ると完全に裕介だったので足を止めた。 気づくだろうか。 私は周囲を見回して、一応人がいないことを確認してから軽くその場で飛び跳ねて見た。 「おーい」 気づく様子がない。 トントンと窓を叩いて見ると、裕介が振り返る。 「あ、裕介」 しかし彼の目線は私のいる踊り場まで上がらず、彼のすぐ後ろを捉えていた。 見るとそこにはゴミ袋を2つ抱えた彩香がいる。 心がざわざわとした。
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