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仇が、床を蹴りあげて雄造へと刀を下ろす。
雄造は一瞬の隙をついて、更に速く懐に入り込み、仇の体を横に真っ二つに斬った。
血飛沫が上がる。
雄造は、長刀を鞘に納めて、雪に笑う。
「終わったぞ」
雪は、その場にへたり込む。
「父上……。母上……」
雄造は、更に続ける。
「それとな、言いづらいんだけど、本当は来月から俺とお前は許嫁になるはずだったんだよ……」
「……え?」
「両親が亡くなったんだから、無効かもしんねーけどさ。俺の嫁になってくんねーか?こんな血まみれで言うことじゃないけどさ」
雪は、「構わない」と告げる。
「そのかわり、私を死ぬまで守れ。死んでも守れ。許嫁のくせに私を守れなかったことを悔やんで守れ」
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